ご相談に来られた時のIさんの負債額は、上記の通り900万円と大きなものになっていました。900万円の負債となると、破産も視野に入れることがありますが、Iさんの場合、ローンを完済した借地権付き建物を所有しており、そのまま住み続けたいとの意向がありました。破産では自宅は売却するしかありませんが、個人再生では、債務圧縮後の金額について支払いが可能であれば、そのまま住み続けられます。
そこで、圧縮後の金額について支払いが可能か検討をしました。
借金の額が900万円の場合、個人再生では5分の1の180万円か、手持ち財産の評価額のいずれか大きい金額を原則3年で支払うことになります。Iさんは建物を所有していましたが、土地は所有ではなく借地権で、建物も古いものであったため、価値は250万円ほどでした(Iさんが事前に取り付けた簡易査定の金額)。その他の財産も合わせ、Iさんの財産評価額は300万円程度と見込まれました。そのため、個人再生後支払うことになるのは総額300万円で、1か月あたり84,000円程度になります。
Iさんの収入は、ボーナスを含めて月平均27万円ほどでしたが、支出は、住宅ローン・家賃の負担がないことから15万円ほどと低く抑えられていました。そのため、毎月の余剰は12万円ほどで、毎月84,000円の支払いは問題ないと見込まれました。
以上を踏まえて、個人再生の手続きを進めることになりました。ご依頼後、債権者に受任通知を送付して毎月の支払いをストップ、余裕ができた中から弁護士費用は分割してお支払いいただきました。その後、個人再生に必要になる書類を収集して、個人再生の申立をしたところ、裁判所から個人再生による債務の圧縮(900万円→300万円)が認められました。これにより、Iさんの返済の負担は大幅に軽減し(毎月20万円→84,000円)、経済的再生を図ることができました。
項目 | 相談前 | 相談後 |
債務総額 | 900万円 | 300万円 |
毎月返済額 | 20万円 | 84,000円 |