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借金問題解決コラム

住宅ローン特則を使う場合の個人再生の留意点

このコラムを書いた弁護士
弁護士 羽賀 倫樹(はが ともき)

大阪生まれの奈良育ち。夏の高校野球観戦が楽しみです。お互いのことを何一つ知らないご依頼者と弁護士が、少しずつ距離を縮めながら、人生の一大事の解決に向かうわけですから、ていねいにお話しをうかがって心を開いていただくことの大切さを痛感しています。

はじめに

個人再生で住宅ローン特則(住宅資金貸付債権に関する特則)を使うには様々な要件があり、以下のコラムで解説しました。

 

 

本コラムでは、住宅ローン特則を使う場合の手続き上の様々な留意点について解説します。

住宅ローン特則を使う場合の個人再生の留意点

住宅ローン特則を使う場合の個人再生の留意点には、以下の①~④のようなものがあります。

No 住宅ローン特則を使う場合の個人再生の留意点
住宅ローンは支払いを継続する必要があること
住宅ローンは圧縮されないこと
住宅ローンは支払い遅れがないようにすることが重要であること
住宅の実質価値によっては再生後の弁済額が高くなること

 

以下、以上の①~④について解説します。

住宅ローンは支払いを継続する必要があること

個人再生を弁護士に依頼した場合、債権者への支払は止めることになります(再生手続開始決定後につき、民事再生法85条1項)。これに対し、住宅ローンの支払いを止めてしまうと自宅を失ってしまうため、住宅ローンは支払を継続する必要があります(再生手続開始決定後につき、民事再生法197条3項)。

住宅ローンは圧縮されないこと

個人再生は、借金を圧縮した上で、無利息分割払いを裁判所に認めてもらう手続きです(民事再生法231条2項3号・4号、174条2項4号)。ただし、圧縮される借金に住宅ローンは含まれず(民事再生法231条2項2号・3号・4号)、住宅ローンは全額を支払う必要があります(民事再生法199条)。

住宅ローンは圧縮されず、支払の継続が必要であることから、個人再生で住宅ローン特則を使う場合、住宅ローンの支払を継続しても、他の債務を圧縮すれば支払いが十分に可能であるかが重要になります。

住宅ローンは支払い遅れがないようにすることが重要であること

住宅ローン特則は、住宅ローンに支払いの遅れがあっても利用が可能です。しかし、一般的に住宅ローンは優先的に支払いがされていること、弁護士に個人再生を依頼すれば住宅ローン以外の借金の支払いを一時的に止められることから、弁護士に依頼後個人再生を申し立てるまでの間に住宅ローンの遅滞を解消することは十分に可能と思われます。それにもかかわらず、個人再生申立までに住宅ローンの遅滞が解消していないとなると、そもそも、再生後弁済ができるかという問題になり、個人再生が不認可になる可能性があります(民事再生法174条2項2号)。そのため、住宅ローンは支払い遅れがないようにすることが重要です。

住宅の実質価値によっては再生後の弁済額が高くなること

個人再生手続き後の弁済額は、借金の額によって決められていますが(民事再生法231条2項3号・4号)、最低限手持ち財産額分は支払わないといけません(民事再生法174条2項4号)。この点、自宅も財産であるため、自宅の価値も財産価値に加算されますが、オーバーローンであることが多いため、再生後の弁済額を算定するにあたって自宅の価値が問題になることは多いとは言えません。しかし、以下のようなケースでは、自宅の価値が問題となり、再生後の弁済額が大きくなることがあります。

No 自宅の価値が高くなりやすいケース
住宅ローンの支払期間が残りわずかになっている
住宅購入時に多額の頭金を支払った
都心部のマンションを購入した

 

①について、住宅ローンの支払を長期間継続していると、当然住宅ローンの残額は少なくなります。これに対し、建物の価値は比例するように下がる一方、土地の価格は不動産価格情勢によって下がることはありますが、基本的に一定のものと言えます。そのため、住宅ローンの支払期間が残りわずかになっていると、土地の価格が住宅ローン残高より高くなる結果、自宅に一定の価値が出ることがあります。

②について、住宅購入時に多額の頭金を支払っていると、住宅ローンの借入額が少なく、支払期間を通じて自宅に一定の価値が出ることがあります。

③について、特に近年個人再生申立に当たって問題になっているのですが、都心部のマンションは購入時より価格が上がっていることがよくあり、財産価値が大きくなることがあります。

 

以上のような事情で自宅の価値が大きくなる場合、財産額が大きくなる結果、再生後の弁済額が大きくなることがあります。そのような場合でも、自宅以外の財産も含めた財産額がそれほど大きくなければ個人再生申立てに支障はありません。しかし、財産額が相当程度大きくなると、個人再生申立てをあきらめざるを得ないこともありますし、弁済期間を3年ではなく、4年または5年に延ばすことを検討する必要が生じることもあります。具体例をあげると以下のようになります。

 

この場合、負債額から算出される弁済額は、1500万円÷5=300万円です。

また、財産額は、不動産価値1000万円-ローン残高700万円=300万円です。

以上のケースでは、住宅に一定の価値はありますが、そこまで価値が大きくはないため再生後に支払う金額は増えません。

 

この場合、負債額から算出される弁済額は、1200万円÷5=240万円です。

また、財産額は、不動産価値1500万円-900万円=600万円+退職金の財産価値100万円=700万円です。

以上のケースでは、1200万円の負債の圧縮は可能ですが、700万円までしか圧縮できません。弁済期間を長期に設定するか、それでも支払いが難しい場合は、別の債務整理方法を検討する必要があります。

 

この場合、負債額から算出される弁済額は、1000万円÷5=200万円です。

また、財産額は、不動産価値4400万円-3500万円=900万円+保険の解約返戻金100万円=1000万円です。

以上のケースでは、負債は1000万円から圧縮できません。弁済期間を長期に設定するか、それでも支払いが難しい場合は、自宅を売却するか、別の債務整理方法を検討する必要があります。

 

※なお、実際には、大阪地裁では不動産価値から5%の減額が認められていますが、分かりやすくするために、①②③の事例では、その部分は省略して記載しています。

弁護士によるまとめ

以上、住宅ローン特則を使う場合の手続き上の様々な留意点について解説しました。住宅ローン特則を使うには考慮すべき点が多くあり、実際に住宅ローン特則を使って個人再生を進められるかは、弁護士に相談しながら進めることが重要です。
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