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借金問題解決コラム

更新日:2025年2月28日

個人事業主(自営業)と個人再生

このコラムを書いた弁護士
弁護士 羽賀 倫樹(はが ともき)

大阪生まれの奈良育ち。夏の高校野球観戦が楽しみです。お互いのことを何一つ知らないご依頼者と弁護士が、少しずつ距離を縮めながら、人生の一大事の解決に向かうわけですから、ていねいにお話しをうかがって心を開いていただくことの大切さを痛感しています。

はじめに

個人再生は、会社員等の給与所得者・公務員・個人事業主・会社役員・年金生活・兼業主婦等様々な職業の方が利用されますが、職業別に注意すべき点が異なります。このページでは、個人事業主(自営業)が個人再生する場合の留意点や特徴について見ていきます。

個人事業主が個人再生をする場合の留意点や特徴の概要

個人事業主が個人再生をする場合の留意点や特徴には以下のようなものがあります。

⑴ 収入面

収入面の留意点・特徴
収入は会社員より不安定と判断されやすい
給与所得者等再生は使いづらい
申半年分の事業収支実績表の提出が必要

 

 

⑵ 財産面

財産面の留意点・特徴
自宅を事業用にも使っていると住宅ローン特則を使えないケースがある

 

 

⑶ 負債面

負債面の留意点・特徴
借入が3000万円を超えると個人再生委員が選任される
借入が5000万円を超えると個人再生が認められない
取引先に買掛があると債権者になってしまう
リース物件があると手続きを進めにくいことがある
税金・社会保険料等が問題になりやすい

 

ここからは、以上の留意点や特徴の詳細について見ていきます。会社員と比較すると、個人事業主は、個人再生を進める上で問題が発生しやすく、より慎重に手続きを進める必要があると言えます。

収入面の留意点・特徴

収入は会社員より不安定と判断されやすい

個人事業主(自営業)の方は、本来雇用でもおかしくない実態でありながら、形式的に個人事業主となっているような場合を除き、毎月の売上・支出・余剰に大きな変動があることが多いと思われます。そのため、会社員と異なり、小規模個人再生の要件の一つである「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」(民事再生法221条1項)があるかどうかが問題になることがあります。

この点について、再生後の弁済は少なくとも3か月に1回の支払が必要になります。そのため、増減はあっても毎月の売上があれば問題は小さいですが、売上が上がるのが3か月に1回より少ないと要件をクリアできない可能性があります。

給与所得者等再生は使いづらい

会社員の場合、債権額のうち過半数を占める債権者が再生に反対する場合、給与所得者等再生に切り替えて手続きを進められる場合があります。

これに対し、個人事業主の場合、債権額のうち過半数を占める債権者が再生に反対すると、給与所得者等再生への切り替えは難しいことが多いと言えます。理由は、給与所得者等再生は、「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれる」ことが要件になっているところ(民事再生法239条1項)、個人事業主では、収入が定期的と言えなかったり、変動幅が小さいとは言えないことが多いためです。

半年分の事業収支実績表の提出が必要

個人事業主の方が個人再生をする場合、半年分の事業収支実績表の提出が必要です。会社員の場合、2か月分の家計収支表の提出とされていることからすると、より長期間の資料の提出が必要であることが分かります。

この理由ですが、上記の通り、個人事業主は収入の変動が大きく、収入が安定しているかを判断するには、より長期の収支を見る必要があるためです。

財産面の留意点・特徴

自宅を事業用にも使っていると住宅ローン特則を使えないケースがある

個人事業主の場合、自宅の一部を事業用に使っていることがあると思います。この点が、個人再生手続き上、住宅ローン特則が使えるかどうかの部分で問題になることがあります。

問題になる理由は、住宅ローン特則が使える住宅が、「個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、その床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるもの」(民事再生法196条1号)とされているためです。この民事再生法上の要件から、自宅の床面積の半分超を事業用に使っている場合、住宅ローン特則を使うことができません。

負債面の留意点・特徴

借入が3000万円を超えると個人再生委員が選任される

個人事業主の場合、事業規模や収支状況によっては、借入額が大きくなることがあります。

この点、大阪地方裁判所では、個人事業主が個人再生をする場合、負債総額から住宅資金貸付債権、保証債務を除いた額が3000万円以上の場合、個人再生委員(民事再生法223条)が選任されます。個人再生委員が選任されると、再生委員用の費用として30万円が必要になりますし、手続き負担がより重くなります。

そのため、個人事業主の中でも、小規模で借入が少ない事業の方が個人再生をやりやすいと言えます。

借入が5000万円を超えると個人再生が認められない

個人再生は、債務額が5000万円以下でないと手続きをすることが認められません(民事再生法221条1項)。この点、個人事業主の場合、事業規模や収支状況によっては、借入額が5000万円を超えることもあると思われます。債務額が5000万円を超えると通常再生という手続きになりますが、手続きが非常に煩雑で使いづらいと言わざるを得ません。

上述の個人再生委員の問題もあり、個人事業主の方が個人再生をする場合、会社員の場合以上に債務額に注意する必要があります。

取引先に買掛があると債権者になってしまう

個人事業主の場合、仕入先への代金支払いについて買掛にしていることがあると思います。買掛先があると債権者となり、再生において圧縮の対象になってしまいます。圧縮によって取引先が離れてしまうと事業継続に支障が生じることもありますので、可能であれば買掛ではなく現金払いにして債権者にならないようにする必要があります。

リース物件があると手続きを進めにくいことがある

個人事業主の場合、事業用動産についてリース契約をしていることがあります。個人再生において、リース物件は弁済協定を締結することで手元に残せることもありますが、動産価値と残リース額のバランスによっては、引き上げにならざるを得ないことがあります。引き上げになっても問題がないケースもあると思いますが、事業のために必要なものであれば、中古で値段の下がったものを購入するなど代替品の調達が必要です。

税金・社会保険料等が問題になりやすい

個人事業主の場合、確定申告後に一気に税金の納付が必要になるなど、会社員と比較して税金の支払いが問題になることがあります。所得税・消費税・個人事業税・住民税は、毎月支払いが発生するわけではないため、長期的な収支を考える上では留意が必要です。

申立弁護士費用について

これまで見てきたところから、個人事業主は会社員と比較して個人再生をする際の留意点が多いと言えます。そのため、申立のための弁護士費用が会社員より高くなるケースがあります。

弁護士によるまとめ

以上、個人事業主の方が個人再生をする場合の留意点について記載をしました。会社員と比較すると個人再生手続きにおいて留意すべき事項が多く、より慎重に手続きを進める必要があると言えるでしょう。
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