債務整理の用語集
あ行
相保証【あいほしょう】
債権者が債務者同士を互いに保証人にすること。
お金を借りた人同士に保証債務を負わせることによって、破産や債務整理をさせないように心理的な負担を与えます。
大阪弁護士会【おおさかべんごしかい】
明治13年5月大阪組合代言人という名称で組合を結成。
大正15年5月名称を大阪弁護士会と改称(旧々弁護士法時代)昭和24年9月現行弁護士法が施行され、現在の大阪弁護士会となる。
弁護士法人 みお に在籍する弁護士も大阪弁護士会の会員です(京都事務所所属の弁護士は京都弁護士会の会員、神戸事務所所属の弁護士は兵庫県弁護士会の会員です)。
http://www.osakaben.or.jp
おまとめローン【おまとめろーん】
複数の金融業者からの借入れがある人に、「全ての借金を銀行で一本化すれば、低金利で返済できて便利」などと呼びかけて、借り換えさせるのが銀行のおまとめローンです。借り換えると、いったんは消費者金融での残高がゼロになるため、総量規制で借入れを制限されていた人も、またもや借金をふやしてしまうことになります。多重債務の原因になりかねない危険な金融商品といえるでしょう。
か行
買取屋【かいとりや】
債務者にクレジットカードで換金性の高い商品を買わせて、それを買い取る業者。最初から換金を目的にクレジットカードで物品を購入した場合は詐欺罪に問われる可能性がありますし、免責不許可事由になり得ますのでお気をつけください。
可処分所得【かしょぶんしょとく】
一般的には、課税前の家計収入から、税金や社会保険料を差し引いた残りの所得。いわゆる手取り収入のこと。
債務整理の場合、可処分所得が給与取得者等再生を利用する場合の再生計画の最低弁済額を算定する基準になります。過去2年間の収入から、税金・社会保険料・扶養家族や地域に応じた家計簿を差し引いて計算し、可処分所得の2年分が最低弁済額となります。
機関保証
奨学金を返還している学生が月々の返済を延滞・滞納した場合、親族等の保証人ではなく、保証会社が保証するものです。この制度を利用するには、保証料を支払っておく必要がありますが、親族保証と比較して破産や再生手続は行いやすくなるメリットがあります。
キャッシング
クレジットカードやカードローン用の銀行カードを利用して、現金を借りることをキャッシングといいます。クレジットカードには、ショッピング枠とは別にキャッシング枠が設けられていて、決められた枠内で借入れができます。ATMを使う同じような操作であっても、自分の口座から現金を引き出すのと違い、キャッシングの場合はあくまで借金であるという認識が必要です。
給与取得者等再生【きゅうよしょとくしゃさいせい】
民事再生法のうち、個人向けの手続の手段の一つ。
担保のついていない借金が5000万円以下、給与などの定期的収入を得る見込みがあり、その変動の幅が小さい人が使える手続きのこと。
サラリーマンのほか、パートやアルバイト、年金生活者でも利用することができます。
可処分所得の2年分を3年で弁済するという再生計画を提出できる場合には、債権者の同意が不要で再生計画が認可されなど手続が簡略化されています。
銀行カードローン
緩やかな審査で高額の現金をその場で手にでき、消費者金融で断られても借りられるとあって銀行カードローンを利用する人がふえています。銀行カードローンの貸付額が増えていることを受け、金融庁の調査も入りました。銀行だから安心などというイメージに惑わされない注意が必要です。
個人信用情報機関【こじんしんようじょうほうきかん】
金融業者間で個人の信用情報の交換を目的とした団体。
次の4つの信用情報機 関が代表的です。
・シー・アイー・シー(CIC,クレジット・信販系)
・全国銀行個人信用情報センター(銀行協会系)
・全国信用情報センター連合会(JIC,消費者金融系
・日本情報センター)・セントラル・コミュニケーション・ビューロー (CCB,外資・独立系)
個人再生【こじんさいせい】
民事再生法のうち、個人向けの手続のこと。
「小規模個人再生手続」と「給与所得者等再生手続」の2種類があり、いずれの手続において住宅資金貸付債権特則制度を併用することができます。
住宅ローンを除く無担保の借金が5000万円以下の場合に利用できます。
さ行
サラ金【さらきん】
消費者金融業者を示す俗称。「サラリーマン金融」の略語。ほかに「街金」「高利貸し」とも呼ばれることがあります。
自己破産【じこはさん】
債務者自らが裁判所に破産手続開始の申立を行うこと。
個人(自然人)の場合、破産申立とあわせて免責申立をし、裁判所から免責の決定が出た場合、債務の返済義務が免除されます。
住宅資金特別条項【じゅうたくしきんとくべつじょうこう】
個人再生の手続きで定める住宅ローンに関する特別なルールのこと。
住宅ローンの支払いが滞った場合は抵当権が実行されるので、競売などによって住宅を失うことになります。しかし、住宅資金特別条項を定めた再生計画が認可された場合には、住宅ローン以外の借金の一部を免除してもらえますが、例外として住宅ローン債務のみ全額を支払わなければなりません。
その代わり、住宅を失わずに生活の再建ができます。従来の約定どおり支払う返済方法のほか、弁済期間の延長やしばらくは利息だけを支払う元本猶予期間などを定めることができます。
奨学金
奨学金とは、専門学校・短大・大学・大学院などで学ぶ学生を対象にした支援金制度です。公的な制度から民間企業・自治体まで、運営する組織は様々ですが、最も代表的なものは日本学生支援機構(JASSO)です。奨学金には返済不要の給付型と、卒業後に返還する貸与型の2種類があります。
ショッピング枠の現金化
本来なら買物をするためのクレジットカードのショッピング枠を利用して、換金することをいいます。業者に言われるままに換金しやすい商品(JRチケットなど)をカードで購入し、多額の手数料を引かれた上で現金を受け取るというものです。これはカード会社が禁止している行為であり、知られると使用停止になります。
総量規制
2010年に施行された貸金業者に対する法規制。この改正貸金業法により、貸金業者は利用者に対し、総借入れ額が年収の3分の1を超える貸付けをすることを禁じられました。ただし、総量規制の対象は消費者金融などの貸金業者であり、銀行はこの中に含まれません。
た行
代位弁済 【だいいべんさい】
保証会社や保証人が本人に代わって借金を支払うこと。
滞納【たいのう】
支払約定日(契約で決定した支払日)に返済できなかったり、遅れること。
多重債務【たじゅうさいむ】
いくつもの業者から多数の借り入れをしている状態。
多くは、返済のための借り入れ(自転車操業)を繰り返すようになり、借金額が増加していきます。こうなると、弁護士に依頼して任意整理や破産などを選択するしかありません。
遅延損害金【ちえんそんがいきん】
返済期日に支払いがなかった場合、追加で請求されるお金。
チケット金融【ちけっときんゆう】
一時期流行した、闇金融の一種。
たとえば、業者から10万円分の高速券を融資してもらい、金券ショップで現金化(7~9万円)しますが、業者へは10万円返済しなければならず、差額の1~3万円が利息になります。
チケットの販売と買取を同一業者が行っていることもあり、ヤミ金の一種である。
着手金【ちゃくしゅきん】
弁護士に手続を依頼するときに支払うお金。裁判で負けても、返金されません。弁護士がとりあえず活動するために必要になるものです。
同時廃止【どうじはいし】
破産申立者が債権者に配当する財産がないために、破産開始決定宣告と同時に管財人を選任することなく、破産手続きを終わらせること。
管財人の選任が必要とする場合と比較すると、裁判所への予納金が安くなります。
特定調停制度【とくていちょうていせいど】
裁判所に申立てて、債務者が各債権者と返済の交渉をする制度。
毎月、どれぐらい返済できるかなどの資料は提供する必要はありますが、弁護 士を選任しなくても調停委員が調整してくれます。
レベルの高い調停委員に当 たると、弁護士と同等の結果が出せますが、そうでないとそれなりの結果しか 残りません。
また、調停を申立てる際に、強制執行の停止を申立てることがで きるという点も特色のひとつです。もっとも、調停が成立すると、貸金業者は 調停調書に基づいて債務者の財産の強制執行が可能なので、弁護士に相談して、 弁護士と債権者との直接交渉(任意整理)に委ねて、債権者に強制執行できる 地位を与えないほうがいい場合も多々あります。
な行
日本学生支援機構
日本学生支援機構(JASSO)は、2004年に旧「日本育英会」の奨学金事業を引継いで設立された独立行政法人です。奨学金を貸与する機関ですが、奨学金を返せなかった場合には督促や訴訟を起こされることがあり、奨学金破産に陥る方がたくさんいらっしゃいます。
任意整理【にんいせいり】
弁護士などが債権者と直接交渉し、無理のない返済計画を立てて債務を整理すること。
債務を利息制限法に基づいて再計算して圧縮、残った債務額について債権者と返済交渉をします。元本のみの返済で済むように交渉することがほとんどです。再計算し、残った債務額が多い場合には、破産か個人再生手続きを利用することになります。
根保証【ねほしょう】
業者から継続的に融資を受けた金額すべてを保証すること。
「根」は一定の限度額枠を意味します。
たとえば根保証枠500万円の保証人になった場合、借りた本人が100万円借りて完済しても、また500万円の追い貸しを受けたら、その保証もしなければなりません。根保証契約は回避したほうがよいでしょう。
年金担保金融【ねんきんたんぽきんゆう】
老人の「年金証書」を担保に取り、お金を貸す業者。
なお、年金を担保に取るのは厚生労働省の社会福祉・医療事業団が行う貸付を除くと違法行為にあたりますが、業者からすると確実に回収できるため後を絶ちません。老人も、お金に困っているときに貸してくれてありがたいと思っている場合もありますが、実際はお金をほとんど際限なくむしりとられており、被害は極めて深刻です。
ノンバンク【のんばんく】
銀行のように預金・為替業務を行わず、融資のみを行う会社。
消費者金融、クレジット会社、商工ローンは、全てノンバンクに分類されます。
は行
破産【はさん】
所有する財産では負債を返済できない財産状態を裁判所に決定してもらう制度(債務者、債権者いずれでも申立てることができます)。
原則的には、管財人が破産者の財産をお金に換えて各債権者に配当していきますが、財産がない場合には管財人は選任されず、免責手続のみが残ります。
破産者自らが破産を裁判所に申立てる場合を特に「自己破産」といいます。
ハードシップ免責【はーどしっぷめんせき】
民事再生においてある厳しい条件を満たした場合に残りの債務を免除する制度。認められるための要件は厳格であり、詳しくは弁護士に相談した方がよいでしょう。
負債【ふさい】
借金、預かり金、仮受金等のマイナスの財産(返済を要する財産)。
不法原因給付【ふほうげんいんきゅうふ】
マージャンの賭金など法律に違反する行為で金銭などを給付した場合、受け取った側は返す義務はありません。ヤミ金からの借入は、法律上返済しなくよいですが、しばらくの間続く自宅や職場への電話攻撃に耐える必要があります。
不当利得の返還【ふとうりとくのへんかん】
法律上の原因がないにも関わらず、本来利益が帰属すべき人の損失と対応する形で利益を受けることを不当利得といいます。損失を受けた人は不当利得の返還として請求することができます。
これに基づき、利息制限法の利率を超えて払った利息を元本に充当していった結果、支払いすぎていた場合には、金融業者に対し、支払いすぎた金額(過払い金)を不当利得として返還請求できます。
ブラックリスト【ぶらっくりすと】
民間会社である信用情報機関の信用情報に信用事故の情報が登録されること。
支払いの遅れ、破産などの公的情報が記載されます。原則として、情報の掲載期限である5~10年間は借金することはできません。信用情報会社に自ら申し出て、借入ができないようにする場合もあります。
成功報酬【せいこうほうしゅう】
弁護士に依頼した事件処理が終了したとき、支払う弁護士費用。報酬ともいいます。成功の度合いによって上下し、従って、完全敗訴などの場合には報酬金は発生しません。
法テラス【ほうてらす】
弁護士費用を立て替えてくれる公的な制度。
立て替えてもらった弁護士費用は、毎月少しずつ返済しなけばなりません。
自己破産の場合に利用するには、生活保護者や収入が基準以下であるなどのことが条件となります。
保証人【ほしょうにん】
お金を借り入れた人の代わりに、借金の返済をしなくてはならない人のこと。
連帯保証人は、借りた人とまったく同じ立場として支払いの義務があるので、 業者から請求があれば支払う必要があります。
ま行
街金【まちきん】
サラ金と同意。貸金業登録している業者としていない業者があります。
金利は29.2%の出資法の上限もしくは手形割引などの方法や関連する会社に保証委託契約を結ばせて保証料をとるなどの方法で、上限を超える利息を取っている場合もあります。
みなし弁済【みなしべんさい】
廃止されました
民事再生【みんじさいせい】
会社の場合は従来の和議に代わる再建型法的手続。
住宅ローン債務を除く債務が5000万円以下の個人の場合には、債権者の決議などの要件が緩和されたり省略されており、手続が簡易になっています。
無人契約機【むじんけいやくき】
消費者金融の受付の機械。
銀行と同じようにATMと呼ばれることもあります。借金をするときに気兼ねしないので、消費者金融の敷居が低くなり、若者などが気軽に利用するようになりました。しかし、借入限度額の枠内で自由に入出金できるため、借金が一向に減らず、さらに借金を増やすなど多重債務の連鎖にはまってしまう人が後を絶ちません。
免責【めんせき】
個人の破産事件で、破産手続きが廃止された後、個人の経済的更生のため破産債権の支払義務を免除する手続。
同時廃止事件では破産開始決定と同時に破産手続きが廃止されるのですぐに免責の手続に入ります。
免責不許可事由がある場合には、免責が認められないことがあります。
免責不許可事由【めんせきふきょかじゆう】
借金をする際に嘘をついていた場合、借金の原因が浪費による場合、破産手続きの直前に財産を処分して特定の債権者にのみ弁済をした場合など、その程度がひどい場合には免責が認められないことがあります。
過去7年以内に免責を得たことがある場合には、免責は認められません。
や~わ行
ヤミ金【やみきん】
1万円から5万円程度の小口の金額を貸付け、1週間で2割というような法外な利息を要求する金融業者。
一度、ヤミ金業者を利用すると次々にヤミ金から勧誘の電話がかかり、携帯電話が鳴り止まなくなります。断っても勝手に銀行口座にお金が振り込まれることがあるので、直ちに口座を解約し、携帯電話も解約すること。
督促の電話は、職場・近所・子供の学校などとどまるところを知らず、生活ができなくなることもあります。最近、元締めの暴力団幹部が逮捕され勢力が弱まりましたが、今なお健在です。
夜逃げ【よにげ】
借金が支払えなくなり、誰にも告げずに姿をくらますこと。
貸金業者からの請求は5年で時効になりますが、その間、裁判で判決がとられていると判決の時点から時効は10年になります。途中で住民票を動かすと、結局住所を突き止められてしまうので、何の解決にもなりません。収入があれば任意整理や民事再生が可能ですし、自己破産という選択肢もあるので弁護士に相談して解決することが望ましいです。
履歴【りれき】
貸金業者に対して、過去の取引の履歴を請求し、利息制限法に基づいて再計算をした場合、概ね平成20年以前からの取引があれば借金が大幅に減るケースがあります。
融資の枠を増やすために契約の書き換えをしている場合は、一番最初の取引からの履歴を請求することが必要ですが、業者がこれに応じない場合もあるので、弁護士に相談してください。
履行【りこう】
約束どおりの支払をすること。反対語は不履行。
リース【りーす】
リースで購入した商品にはリース業者に所有権があり、約束どおりの弁済ができない場合には、商品を引き上げられることもあります。
利息制限法【りそくせいげんほう】
貸し金の利息の上限を定めた法律。
元本が10万円未満の場合は年20%、元本が10万円以上100万円未満の場合は年18%、元本が100万円以上の場合は年15%。この制限以上の利息の定めは無効であり、超過して支払い済みの利息は元本に組み入れて再計算することを要求できます。
リボ払い
リボルビング返済ともいい、ショッピングやキャッシングの際に利用したクレジットカードの支払いを翌月の一括払いにせず、毎月、一定額を支払うことで返済するというもの。月々の支払い額を低く設定すると、却って支払い期間が延びて高額な金利を支払うことになるので注意が必要です。
連帯保証【れんたいほしょう】
債権者に対し主債務者と同じ責任を負うことを約束する契約。
連帯保証の場合には、債権者は主債務者に請求しても連帯保証人に請求してもよいとされます。連帯保証をすることは自分がお金を借りていなくても借りた人とまったく同じ責任を負うので注意が必要です。
「絶対に迷惑をかけないから保証人のハンコを押してくれ」と頼まれた場合でも、主債務者との約束は債権者に対して何の効力もないことに注意してください。
浪費【ろうひ】
免責不許可事由の一つ。
収入に不釣合いな高価な買い物や飲食、ギャンブルなどをすること。お金を借りてこれらの支出をすることは原則として浪費と認められてしまいます。
和解【わかい】
約束どおりの弁済が出来なくなった場合に債権者と今後の支払方法について合意をすること。
弁護士に相談せずに和解をすると利息制限法で再計算をしなかったり、利息もつけられたりと債権者の言いなりの金額で合意することになるので注意が必要です。