安心に思える銀行カードローンが
多重債務者をふやしている
うっかり銀行カードローンに手を出し多重債務の泥沼に落ちてしまったMさんには、銀行なら安心という間違った思い込みがありました。
うっかり銀行カードローンに手を出し多重債務の泥沼に落ちてしまったMさんには、銀行なら安心という間違った思い込みがありました。
多重債務者と聞くと、金遣いの荒い人や金銭感覚のだらしない人を思い浮かべるかも知れませんが、実際にはそんな人ばかりではありません。つましく暮らしている善良な市民が、ふとしたことから多重債務を抱えてしまうケースも少なくないのです。至って誠実な性格のMさんのケースで見ていきましょう。
保険の外交員をしていたMさんは思うように契約が取れず、保険金を自分が負担して契約を取るような無理を重ねていました。同じ頃に夫の事業も不振になり始め、一家4人の生活に支障が生じてきました。そんなときにMさんの目に止まったのが、大手銀行のカードローン広告です。サラ金の店舗に行くのには抵抗があっても銀行なら平気。そんな気持ちも手伝って申込んでみると、時間のかかる審査もなくカードと通帳が発行されました。試しにATMコーナーでカードを使ってみると、すぐさま10万円を引き出すことができました。
最初のうちは借り入れる金額も少なく、その都度返済していましたが、夫の事業の資金繰りや子供の学費で出費がかさむようになってくると、借金の方も増えていきました。やがて返済にまわすお金が足りなくなり、そのたびにまた別の銀行でカードローンを申し込むようになっていきました。
高金利での貸付けや悪質な取立てが社会問題になったことを受けて、2010年、総量規制とよばれる法律が施行され、年収の3分の1を超える借金はできなくなりました。これで多重債務者の数はぐんと減るはずだったのに、最近また多重債務に苦しむ人がふえてきているといいます。その原因とされるのが、Mさんが利用した銀行カードローンです。というのも、総量規制が対象とするのは消費者金融や信販会社であり、その中に銀行は含まれていないのです。
したがって、消費者金融の借金総額が収入の3分の1を越えた人でも、銀行カードローンを使えばまた新たに借り入れることが可能です。限度額も、場合によっては1000万円近く貸し出す銀行もあります。もしも何枚もの銀行カードローンを持つようなことになると、借金額はふえる一方です。その先には、返済不能が巻き起こす悲惨な結末が待ち受けていることは言うまでもありません。必要に駆られてのこととはいえ、無担保•無審査で現金が引き出せることの不自然さに目をつむり、借金を重ねていったことが大きな過ちでした。
Mさんは無理のない金額を設定した返済計画を組んだことで、却って完済を遅らせることになりました。毎月返しているようでも金利分が差し引かれるため、元金に充当する金額は減らず、結果的には膨大な借金をしたのと同じことになってしまいます。さらに、窓口操作で簡単に現金が借りられることを知ってしまった結果、収入が増えたように錯覚して無駄遣いが増え、家計管理もずさんになっていきました。
4枚目の銀行カードローンを申し込もうというときになって、Mさんは自分のしていることの重大さに気づき、夫と相談した結果、「みお」に来所されました。Mさんには総額で500万円の借入れがありましたが、減額することができれば将来にかけて返済したいという意志があったため、私たちは任意整理の方法を選びました。事業をたたんだ夫には定期収入があり、Mさんの保険の仕事も続けていけるということで、弁護士が保証会社との交渉に当たり、金額交渉して和解を取りつけました。3枚あった銀行カードは全て破棄され、Mさん一家には平和が戻りました。
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