借りた奨学金の総額が800万円。
毎月5万円の返済が苦しくなって…
親元からの仕送りが期待できない状態で進学したTさんは大学院へと進み、その間に借り受けた奨学金は800万円近くありました。
親元からの仕送りが期待できない状態で進学したTさんは大学院へと進み、その間に借り受けた奨学金は800万円近くありました。
地方から都会の大学を目ざして受験。志望校には入学できたものの実家の家計は苦しく、親からの仕送りは望めないことがわかっていたTさん、入学後すぐに奨学金を申請しました。
公的な奨学金事業を運営しているのは、「日本学生支援機構」という行政法人です。奨学金には無利子の第一種と、低金利とはいえ有利子の第二種という2つの種類があります。成績が優秀だったTさんは第一種を申請して認められました。高額な授業料に加えて生活費もかさんだため、第二種も併用した結果、大学院卒業までに総額は800万円になっていました。
卒業後は念願かなって大手企業に就職。2〜3年は順調に返済を続けていましたが、不景気で会社が業績不振に陥り、給料は減収、ボーナスもカット。Tさんの返済計画も狂い始め、支払い期限を守れない事態が起きてきました。律儀なTさんは期日までに工面できなくなると、やむなく消費者金融を利用することもたびたびありました。
自宅通学でない学生が学費・家賃・生活費に費やす費用を考えると、毎月10万円の奨学金を受けたとしても切り詰めた生活になります。年換算では120万円。Tさんがそうであったように、大学院の卒業までには700~800万円の大金を借りることになります。卒業後の返済額は月々約5万円。下手をするとこれを20年近く支払い続けなければいけないのです。
奨学金は「貸与」されるものであって、「給付」されるものではありません。奨学金という名の借金です。学生の気軽さで働きながら返せばよいと考えていると、卒業してから後悔することになります。予測できる範囲で確実な返済計画を立て、必要最低限の金額を借りるという心構えが必要です。
奨学金返済を滞納すると容赦なく請求がやってきます。まず、返済期日に入金を怠ると督促が来ます。延滞金も発生します。放置すると、奨学金を借りる際の保証人になった親や知人に返済の催促が及ぶことがあります。滞納が3ヵ月を過ぎるとブラックリストに登録され、ローンが組めなくなります。さらに滞納が続くと一括返済を請求され、訴訟を起こされ最終的には財産を差し押さえられる強制執行が待ち受けています。
Tさんは、奨学金を返済しようとして消費者金融で当座しのぎの借金をしてしまいました。冷静になって考えれば、奨学金の数倍も高い金利のついた消費者金融で借りることなどあり得ないとわかるはず。返済のための借金はどんな場合もタブーです。
日本学生支援機構の奨学金には、返済できなくなった場合の救済措置が設けられています。滞納が一時的なものなら返済の猶予制度が使えます。審査に通れば最大で10年までの延長が認められます。毎月の返済額が減らせる減額制度もあります。減額といっても元金は変わらず、返済額が減った分だけ返済期間が延びるというものです。
猶予策では改善できないほど困窮しているなら、弁護士に依頼して法律による借金整理の道を選ぶことになります。奨学金の残高、今後の返済能力などから判断して弁護士が最適な解決方法を提案します。
Tさんは、相談の結果、破産を選択して借金から解放されました。奨学金の返済で大切な人生をフイにしては本末転倒です。自分でかかえこまず、早い時期に弁護士に相談して解決策をさぐりましょう。
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