個人の借金問題
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借金問題解決コラム

更新日:2023年3月29日

個人再生が認められるための要件(住宅資金特別条項以外の要件)

このコラムを書いた弁護士
弁護士 羽賀 倫樹(はが ともき)

大阪生まれの奈良育ち。夏の高校野球観戦が楽しみです。お互いのことを何一つ知らないご依頼者と弁護士が、少しずつ距離を縮めながら、人生の一大事の解決に向かうわけですから、ていねいにお話しをうかがって心を開いていただくことの大切さを痛感しています。

このコラムの解説内容

個人再生は、借金を圧縮して、無利息分割払いを裁判所に認めてもらうための手続きです。ただ、全てのケースで個人再生が認められるのではなく、様々な法律上の要件を満たす必要があります。このページでは、個人再生が認められるための要件について見ていきます。

個人再生が認められるための要件の概要

個人再生が認められるための主な要件は、以下の①~⑥の通りです。

※個人再生の中には、小規模個人再生(民事再生法221条~238条)と給与所得者等再生(民事再生法239条~245条)がありますが、一般的に小規模個人再生を利用することが多いため、小規模個人再生の要件を解説します。

※住宅資金特別条項の要件は、以下のページに記載していますので、このページでは、住宅資金特別条項以外の要件について解説します。

関連ページ:個人再生における住宅ローン特則>>

 

No 個人再生が認められるための主な要件
債務者が個人であること(民事再生法221条1項)
破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあること、または、事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないこと(民事再生法21条1項)
将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること(民事再生法221条1項)
再生債権の総額が5000万円以下であること(民事再生法221条1項)
再生計画案に同意しない債権者が半数に満たないこと、金額で2分の1以下であること(民事再生法230条6項)
圧縮した債務を、原則3年で支払えること(民事再生法229条2項2号)

 

債務者が個人であること(民事再生法221条1項)

個人再生は、負債額が大きくない個人について、民事再生の手続きを簡易化して利用しやすくし、経済的再生を図りやすくするための制度です。個人再生という言葉から当然と言えますが、法人は個人再生を使えず、個人だけが対象になります。

破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあること、または、事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないこと(民事再生法21条1項)

(1)破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあること(民事再生法221条1項前段)

個人再生は、個人の経済的再生を図るために借金を圧縮する手続きです。そのため、支払が可能である人には利用が認められず、破産手続開始の原因となる事実=支払不能(破産法15条1項)になるおそれがあることが必要です。支払不能とは、支払期限が到来した借金の全部または大部分について、継続的に支払えない状態にあることを指します(破産法2条11項)。支払停止があれば、支払不能であると推定されます(破産法15条2項)。

個人再生を弁護士に依頼すると、借金の支払いを停止することになり、支払不能であると推定されますので、支払不能になるおそれがあるとの要件が問題になることはあまりありません。しかし、借金の支払いが厳しくなっているとしても、借金よりも大きな財産があるのであれば、財産を換価して借金を支払うことができるため、破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとはいえないと考えられます(福岡高裁決定平成18年11月8日 判例タイムズ1234号351頁)。

(2)事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないこと(民事再生法221条1項後段)

支払期限が到来した借金の返済が不可能ではないものの、重要な事業用資産を処分しなければ返済できないような場合のことを指します。個人再生では、会社員の場合は無関係の要件で、個人事業主の場合に問題になります。

将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること(民事再生法221条1項)

個人再生は、圧縮した債務を原則3年という長期分割で支払っていく手続であるため、安定的な収入があることが要件になっています。仕事の内容別に見ていくと、以下のように考えられます。

(1)正社員

要件を満たすと考えられます。
定年が近い正社員の場合は、雇用継続や年金等で収入を得る具体的見通しがあれば問題ないと考えられます。

(2)個人事業主

収入の間隔が3か月を超えるようなケースもあると思いますが、少なくとも3か月に1回の弁済が可能な程度の収入があれば、要件を満たすと考えられます。

(3)アルバイト・派遣社員

相当期間雇用や派遣が続いているのであれば、要件を満たすと考えられます。

(4)歩合給の仕事の場合

個人事業主と同じように収入の安定性に問題が生じることがありますが、毎月の収入の変動が大きくても、少なくとも3か月に1回の弁済が可能な程度の収入があれば、要件を満たすと考えられます。

(5)年金受給者

年金は確実に支給されるため、継続的に又は反復して収入を得る見込みはあると言えます。ただし、年金の額によっては、圧縮した債務を3年〜5年で払えるかの点で問題が生じる可能性はあります。

(6)専業主婦

専業主婦であっても、配偶者に安定した収入があれば、家計全体として、圧縮した債務を3年で支払えるというケースはあるかもしれません。しかし、個人単位でみた場合、継続的に又は反復して収入を得る見込みがあるとの要件は満たさないので、専業主婦は、個人再生は利用できません。一方、主婦であってもアルバイトやパート等をしていて、相当期間継続しているのであれば、要件を満たすと考えられます。

(7)無職

無職の場合、継続的に又は反復して収入を得る見込みがあるとの要件は満たさないので、個人再生は利用できません。ただし、就職が内定している場合には、要件を満たす可能性があります。

再生債権の総額が5000万円以下であること(民事再生法221条1項)

個人再生を利用するには、再生債権の総額が5000万円以下であることが必要です。これは、個人再生が比較的簡易な手続きであることから、借金の総額がそれほど大きくなく、債権者への影響が小さいケースに限定して適用する方が適切と考えられるためです。

5000万円というのは、以下のものを除外して算出します。

 

No 5000万円の算定基礎に含まれない項目
住宅資金貸付債権
別除権行使により弁済を受けられる見込みがある債権
再生手続開始前の罰金等

 

以上の①~③は除外して5000万円を算出する一方、借金に対する遅延損害金は5000万円の算定基礎に含まれます。
したがって、弁護士への依頼時点では債務額が5000万円以下であっても、申立するまでに発生する遅延損害金を含めると債務が5000万円を超える見込みの場合は、個人再生の手続きを進めることは出来ません。

会社員で住宅ローン以外の債務が5000万円を超えるケースはほとんどありませんが、個人事業主の場合、事業規模等によっては債務が5000万円を超えることがあります。また、5000万円の算定基礎に保証債務が含まれるため、会社代表者の場合も債務が5000万円を超えることがあります。

再生計画案に同意しない債権者が半数に満たないこと、金額で2分の1以下であること(民事再生法230条6項)

個人再生(小規模個人再生)は、債権者から一定の不同意が出ると、認められなくなります。

表題に記載した決議要件はやや読み取りにくいかもしれませんが、この要件との関係では、債権額で過半数を持っている債権者がいる場合は注意が必要です。例えば、借金の総額がA・B・C・D社から550万円で、そのうちA社からの借金が300万円であるような場合です。この場合に、A社が再生計画案に同意しない場合、個人再生は認められません。

具体的な債権者では、楽天カード(楽天銀行への代位弁済分を含む)が過半数を持っていると反対をしてきます。そのため、楽天銀行・楽天カードで金額が過半数の場合は、小規模個人再生を使うことができず、給与所得者等再生・任意整理・破産のいずれかで対応が可能か検討する必要があります。なお、楽天銀行・楽天カードは、貸付額が数百万円と比較的大きいことがあり、個人再生をしようとする人の借金総額の半分を超えている事案が珍しいとまでは言えません。

圧縮した債務を、原則3年で支払えること(民事再生法229条2項2号)

個人再生では、債務を圧縮し、無利息で原則3年で支払う必要があります。特別の事情がある場合は、最長5年まで期間を伸ばすことができます。債務は、①債務額基準、②財産額基準のいずれか大きい額に圧縮されます(民事再生法231条2項3号・4号、174条2項4号)。
①債務額基準の詳細は以下の通りで、②の財産額基準は、簡単に説明すると、再生する人が持っている財産価値の合計額になります。

 

債務額 圧縮後の金額
100万円未満 債務額通り
100万円以上~500万円以下 100万円
500万円超~1500万円以下 5分の1
1500万円超~3000万円以下 300万円
3000万円超~5000万円以下 10分の1

 

例えば、圧縮後の金額が100万円であれば、ひと月当たり約28,000円の返済が必要になります。また、圧縮後の金額が150万円であれば、ひと月当たり約42,000円の返済になります。

 

その他の要件

以上、個人再生が認められるための主な要件について見てきましたが、他にも以下の場合には、個人再生が認められません。

 

  • ・不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき(民事再生法25条4号)
  • ・再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき(民事再生法174条2項1号)
  • ・再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき(民事再生法174条2項3号)

 

例えば、裁判所への説明や提出書類に事実と異なる部分がある場合、以上の要件に該当するとして、個人再生が認められないことが考えられます(破産法252条1項6号~8号を参照)。

 

弁護士によるまとめ

以上、個人再生が認められるための要件について見てきました。様々な要件があり、複雑なように見えますが、弁護士に相談すれば、要件を満たすかどうかの見通しを立てることができます。
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