個人の借金問題
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借金問題解決コラム

更新日:2023年7月18日

個人再生の利用状況(2021年までの統計)

このコラムを書いた弁護士
弁護士 羽賀 倫樹(はが ともき)

大阪生まれの奈良育ち。夏の高校野球観戦が楽しみです。お互いのことを何一つ知らないご依頼者と弁護士が、少しずつ距離を縮めながら、人生の一大事の解決に向かうわけですから、ていねいにお話しをうかがって心を開いていただくことの大切さを痛感しています。

はじめに

個人再生は、債務を圧縮し、無利息長期分割を裁判所に認めてもらうための手続きです。住宅ローン特則を使って持ち家を残せたり、借入の原因を問われないなど、自己破産にはない特徴がある手続きのため、債務の返済が厳しくなってきた方の中で利用を考えている方も多いと思います。利用を考えている方は、実際にどれくらいの人が個人再生を利用しているかが気になるかもしれません。このページでは、公表されている裁判所の統計から、どの程度個人再生が利用されているかについて見ていきます。

個人再生の利用状況

個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。そのため、それぞれについて1年ごとの申立件数と、2種類ある個人再生合計の申立件数について見ていきます(令和3年司法統計年報概要版 1 民事・行政編(令和4年8月 最高裁判所事務総局)・平成28年司法統計年報 民事・行政編より)。

(1)小規模個人再生の申立件数

申立件数
2012年 9,096件
2013年 7,655件
2014年 6,982件
2015年 7,798件
2016年 8,841件
2017年 10,488件
2018年 12,355件
2019年 12,764件
2020年 12,064件
2021年 10,509件

 

以上の統計から、小規模個人再生は、1年で1万件程度の利用があることが分かります。

(2)給与所得者等再生の申立件数

申立件数
2012年 925件
2013年 719件
2014年 686件
2015年 679件
2016年 761件
2017年 796件
2018年 856件
2019年 830件
2020年 777件
2021年 740件

 

給与所得者等再生は、再生における弁済額が小規模個人再生より高くなる可能性が高い一方、債権者が反対しても再生が認められる手続です。給与所得者等再生は、小規模個人再生より経済的メリットが小さいため、債権者の反対により小規模個人再生の利用が難しいケースに限って申立がされていると思われます。しかし、実際には、消費者金融・クレジットカード会社・債権回収会社等が反対することは少なく、債権者の反対により小規模個人再生が認められないケースは限定的です。そのため、給与所得者等再生は小規模個人再生より申立件数が大幅に少なく、1年で1000件もありません。

(3)小規模個人再生と給与所得者等再生の申立件数の合計

申立件数
2012年 10,021件
2013年 8,374件
2014年 7,668件
2015年 8,477件
2016年 9,602件
2017年 11,284件
2018年 13,211件
2019年 13,594件
2020年 12,841件
2021年 11,249件

 

 

小規模個人再生と給与所得者等再生の申立件数を合計すると上記の通りです。給与所得者等再生の申立件数は少ないため、ほぼ小規模個人再生と同じ傾向です。個人再生は1年間で1万件程度の利用があることが分かります。年間1万件の申立ということなので、多くの方が個人再生を利用していることが分かります。

個人の自己破産の利用状況

ここまで、個人再生の申立件数について見てきましたが、個人再生と同じく裁判所を通じて債務整理をする自己破産はどれくらい利用されているのでしょうか。自己破産には個人と法人の両方がありますが、個人の自己破産申立件数は以下の通りです(令和3年司法統計年報概要版 1 民事・行政編(令和4年8月 最高裁判所事務総局)・平成24年~平成28年司法統計年報 民事・行政編)。

 

申立件数
2012年 82,668件
2013年 72,048件
2014年 65,393件
2015年 64,081件
2016年 64,872件
2017年 68,995件
2018年 73,268件
2019年 73,292件
2020年 71,838件
2021年 68,413件

 

自己破産は、年間7万件前後の申立があることが分かります。個人再生の7倍程度の申立件数であり、債務を圧縮して支払っていく個人再生より、債務を0にできる自己破産の利用が多いことが分かります。ただ、申立件数の比率の推移をみると少し見え方が異なります。

 

 

自己破産申立件数 個人再生申立件数 個人再生/自己破産の比率
2012年 82,668件  10,021件  12.1%
2013年 72,048件  8,374件 11.6%
2014年 65,393件  7,668件  11.7%
2015年 64,081件  8,477件  13.2%
2016年 64,872件  9,602件  14.8%
2017年 68,995件 11,284件  16.4%
2018年 73,268件  13,211件  18.0%
2019年 73,292件  13,594件  18.5%
2020年 71,838件  12,841件  17.9%
2021年 68,413件  11,249件  16.4%

 

 

2016年までは、自己破産の申立件数に対する個人再生の申立件数の比率は15%未満でしたが、2017年以降は15%を超えています。また、時期により申立件数の比率は変動しており、2019年をピークに個人再生の申立件数の比率は下がっています。

この点、個人再生の比率が下がっている理由に関する統計はないため、理由は明確ではありません。ただ、近時よくあるのは、住宅ローン特則を使って個人再生をしようとしたものの、全国的な地価の上昇により所有不動産の価格がローン残高より高くなり、個人再生をしても債務が圧縮できないか圧縮率が限定的であるため、個人再生を断念しているケースです。このような場合は、やむなく任意整理や自宅を売却して借金を返済するという方法を取ることになります。地価が横ばいか下落傾向になれば、住宅ローン特則付き個人再生がより使いやすくなると思われます。

破産と比較した場合の個人再生の使いやすさについて

以上のデータから、個人再生は自己破産より申立件数が少ないことが分かります。これは、自己破産は債務を0にできる手続きであるのに対し、個人再生は債務を圧縮できるもののある程度の額を返していかないといけない点が影響しているものと思われます。

しかし、個人再生には自己破産にない以下のようなメリットがあります。

 

個人再生の自己破産にないメリット
  • 住宅ローンを返済中の持ち家を残せる(住宅資金特別条項)
  • 担保権のついていない財産を残せる
  • 借入の原因は問われない(破産における免責不許可事由にあたるものがない)
  • 資格制限がない
  • 近畿2府4県の裁判所では、裁判所や個人再生委員の事務所に出向かないといけないケースが少ない

※ これに対し、東京地裁では、全件個人再生委員が選任される運用であるため、個人再生をすると個人再生委員の事務所に出向かないといけないものと思われます。この点で、近畿地方で個人再生をする場合は、東京地裁で個人再生をする場合より手続き負担が軽くなっています。

※ 自己破産の場合、大阪地裁本庁では、破産審尋・免責審尋のために裁判所に出向かないといけない可能性があります。また、破産管財事件になると、裁判所と管財人事務所に出向く必要があります。この点で、個人再生は自己破産より手続き負担が軽くなっています。

※ また、自己破産で破産管財事件になると、選任される破産管財人によって考え方が大きく異なるため、手続きの見通しが立てにくい部分があります。これに対し、大阪地裁の個人再生では個人再生委員が選任されることがほとんどなく、裁判所による手続きである程度安定性があるため、手続きの見通しが立てやすい部分があります。

 

このように、個人再生は自己破産と比較した場合に様々な点で利用しやすいところがあります。そのため、個人的な考えにはなりますが、個人再生の利用がもう少し増えてもいいのではないかと思っています。

弁護士によるまとめ

以上、個人再生の利用状況について見てきました。個人再生は自己破産より申立件数が少ないですが、自己破産よりも利用しやすい面があります。借金が膨らんでしまい、支払が厳しくなってきたという方は、自己破産だけでなく、個人再生も含めて債務整理の方法を検討することをお勧めします。
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