大阪生まれの奈良育ち。夏の高校野球観戦が楽しみです。お互いのことを何一つ知らないご依頼者と弁護士が、少しずつ距離を縮めながら、人生の一大事の解決に向かうわけですから、ていねいにお話しをうかがって心を開いていただくことの大切さを痛感しています。
自己破産を弁護士に依頼した場合の手続きの流れ(同時廃止の場合)
はじめに
借入の返済が厳しくなって自己破産を考えている方の中には、自己破産手続きの全体像が見えず、手続きを始めるのを躊躇している人もいるかもしれません。そこで、このページでは、自己破産を弁護士に依頼した場合の手続きの流れのうち、比較的簡易な手続きである同時廃止について時系列順に見ていきます。
自己破産を弁護士に依頼した場合の手続きの流れ(同時廃止)
自己破産の手続きを弁護士に相談・依頼する場合の手続きの流れの大枠は、相談の予約から始まって、相談・依頼→自己破産申立→裁判所による免責許可というものです。より詳細に手続きの流れを記載すると、以下のようになります。
No | 手続き |
① | 相談予約・相談・依頼 |
② | 債権者に受任通知送付・債務額調査 |
③ | 支払停止 |
④ | 弁護士費用の支払い |
⑤ | 債権者対応 |
⑥ | 申立に必要になる書類の精査 |
⑦ | 自己破産申立に必要な書類の準備 |
⑧ | 書類の中身の精査と申立書類の作成 |
⑨ | 申立 |
⑩ | 裁判所からの補正連絡 |
⑪ | 補正連絡への対応 |
⑫ | (口頭審査) |
⑬ | 破産手続開始決定(破産法30条1項) |
⑭ | (免責審尋) |
⑮ | (債権者からの免責についての意見申述)(破産法251条1項) |
⑯ | 免責許可決定(破産法252条1項) |
⑰ | 免責許可決定の確定(免責許可決定から1か月程度、破産法252条3項・5項・7項、10条3項本文、9条) |
対応が必要にならないこともある手続き(⑫⑭⑮)については、カッコに入れて記載しています。
このように自己破産は、比較的簡易な同時廃止でも様々な手続きが必要になりますが、ご依頼いただいた方が行わないといけない手続きという視点で整理すると下記のようになります。○をつけたものについて依頼者の方に対応いただく必要があり、△は場合によって対応いただく必要があるものです。
No | 対応の有無 | 手続き |
① | ◯ | 相談予約・相談・依頼 |
② | 債権者に受任通知送付・債務額調査 | |
③ | ◯ | 支払停止 |
④ | ◯ | 弁護士費用の支払い |
⑤ | 債権者対応 | |
⑥ | 申立に必要になる書類の精査 | |
⑦ | ◯ | 自己破産申立に必要な書類の準備 |
⑧ | 書類の中身の精査と申立書類の作成 | |
⑨ | 申立 | |
⑩ | 裁判所からの補正連絡 | |
⑪ | △ | 補正連絡への対応 |
⑫ | ◯ | (口頭審査) |
⑬ | 破産手続開始決定(破産法30条1項) | |
⑭ | ◯ | (免責審尋) |
⑮ | (債権者からの免責についての意見申述)(破産法251条1項) | |
⑯ | 免責許可決定(破産法252条1項) | |
⑰ | 免責許可決定の確定(免責許可決定から1か月程度、破産法252条3項・5項・7項、10条3項本文、9条) |
依頼のための手続きを除くと、手続きの途中で対応いただく必要があるのは、弁護士費用の支払・必要な資料の収集になります。場合によっては、口頭審査・免責審尋で裁判所に出向かないといけないケースもありますが、割合としては高くありません。このように、弁護士に依頼することで自己破産の手続負担が大幅に軽くなることが分かります。
自己破産(同時廃止)の手続きの詳細
①相談予約・相談・依頼
自己破産手続きを希望される場合は、ご相談のご予約をお願いします。初めての相談でそのまま依頼ということもありますし、一旦持ち帰りいただき検討の上依頼ということもあります。相談時間は1時間程度ということが多いですが、事案が複雑な場合は1時間を超えることもあります。
ご相談予約フォームはこちら>
②債権者に受任通知送付・債務額調査
ご依頼いただいた場合は、弁護士から債権者に受任の通知を送付し、借入額の調査も行います。弁護士が行いますので、依頼者の方から債権者に対し借入額の詳細を確認していただくことはありません。
③支払停止
ご依頼いただくと債権者への支払を止めることができます。これで借金の返済に追われる生活から離れ、一息つくことができます。
④弁護士費用の支払い<
弁護士費用は、一括支払いという方もいますが、債権者への支払を止めて余裕ができた中から、毎月分割でお支払いいただくことが多いです。
⑤債権者対応
自己破産申立には時間がかかるため、債権者から進捗等の連絡が来ることがあります。弁護士で対応するため、依頼者の方に対応いただくことはありません。なお、債権者が裁判をしてきたという場合は、依頼者の方に直接訴状等が届くため、事務所に転送をお願いします。
⑥申立に必要になる書類の精査
自己破産申立に必要になる書類は、どの事案でも必要になるものと、個別の事情に応じて提出が必要になるものがあります。必要になる書類を弁護士が精査しお伝えしますので、資料収集が苦手と感じている方もご安心ください。
⑦自己破産申立に必要な書類の準備
上記の通り、必要な書類を弁護士が精査しお伝えしますので、資料の収集をお願いします。様々な書類の収集が必要で、ご負担に感じられる場合もあると思いますが、膨らんでしまった債務について免責を受けるために必要なものと考え、収集をお願いできればと思います。
分からない点が出てきた場合は、お問い合わせいただければ回答します。
⑧書類の中身の精査と申立書類の作成
収集していただいた書類を精査し、弁護士が申立書類を作成します。不足や不明点があれば、事務所からご連絡します。
⑨申立
申立書類が完成すれば、裁判所に自己破産の申立をします。資料の並び順の指定があったり、収入印紙や郵便切手の添付が必要であるなど、手続き的に細かい部分もありますが、ここも事務所の方で対応します。
⑩裁判所からの補正連絡
裁判所の審査の結果、申立書の補正や追加資料の提出が必要になることがあります。
⑪補正連絡への対応
申立書の補正や追加資料の提出をします。事務所だけで対応できる場合もありますし、依頼者の方に追加資料の収集をお願いすることもあります。
⑫口頭審査
同時廃止というのは、基本的に書類を裁判所に提出して、破産・免責が認められる手続です。しかし、全ての事案について書類を出すのみで破産・免責が認められるのではなく、以下のような場合は、破産手続開始決定前に、裁判所に出向き裁判所から口頭で様々な事項について質問されることがあります。
ア 破産をする人が個人事業者である、または、個人事業者であった場合
イ 破産をする人の資産等を調査する必要がある場合
ウ 破産をする人に偏頗行為や財産減少行為の存在が窺われる場合
エ 破産をする人が法人代表者である、または、法人代表者であった場合
オ 破産をする人に免責不許可事由がある場合
カ 破産をする人に免責不許可事由はないものの、今後の経済的再生に問題が生じる可能性等があると裁判所が判断する場合(7年以上前に免責を受けている場合、若年で破産に至った場合、生活状況が不安定な場合等)
口頭審査が必要になった場合も、弁護士が同行し、必要に応じてフォローをしますのでご安心ください。
⑬破産手続開始決定(破産法30条1項)
裁判所において問題がないと判断されれば、破産手続開始決定が出ます。なお、自己破産では、後記の通り免責許可決定もあるため、破産手続開始決定のみでは免責が認められたということにはなりません。
⑭免責審尋
大阪地裁では、同時廃止手続きの場合に、以下のようなケースで、口頭審査以外に免責審尋手続きが行われることがあります。
ア 免責不許可事由の有無や程度を勘案して、反省文・家計収支表・家計簿の提出では不十分と裁判所が判断する場合
イ 破産する人の年齢・債務額・就労状況等から、破産に至った経緯や破産後の経済生活の再生に問題や懸念があると裁判所が判断する場合
※ 免責不許可事由や経済的再生の問題がある程度大きいケースは口頭審査に呼ばれ、免責不許可事由や経済的再生の問題がやや小さいケースは免責審尋に呼ばれることが多くなっています。
大阪地裁では、免責審尋について、多くの場合、破産する人が複数人同時間帯に集まる集団免責審尋の形をとっています。そのため、破産に至った具体的事情等について裁判所から聞かれることはなく、破産・免責手続きに関する一般的な質問がされることが多いと言えます。
免責審尋が必要になった場合も、弁護士が同行しますので、ご安心ください。
⑮債権者からの免責についての意見申述(破産法251条1項)
債権者は、破産する人の免責について意見を述べることができます。債権者が免責に異議がある旨意見を述べた場合、免責に影響が出る可能性があります。ただ、同時廃止は、裁判所で免責不許可にするほどの問題はないと判断されたケースであり、債権者が意見を述べることはあまりないため、債権者からの意見申述により免責に問題が出るケースはほとんどないと言っていいでしょう。
⑯免責許可決定(破産法252条1項)
以上の手続きを経て、裁判所が免責について問題がないと判断すれば、免責許可決定が出ます。
⑰免責許可決定の確定(免責許可決定から1か月程度、破産法252条3項・5項・7項、10条3項本文、9条)
免責許可決定は、2週間程度で官報に公告され、そこから2週間で確定するため、免責許可決定から1か月程度で確定します。免責許可決定が確定することで、法的にも借金の支払い義務がなくなり、借金問題は解決となります。
手続の全体の期間
自己破産(同時廃止)の手続期間は、ご依頼から免責許可決定までで1年程度は必要になることが多くなっています。具体的には、弁護士費用の支払で半年程度、資料の収集・申立書の作成で数か月、申立後免責が認められるまで3か月程度といったところです。弁護士費用の支払が一括であれば申立までの期間は短くなりますが、弁護士費用の支払や資料の収集に時間がかかってしまった場合は、手続全体として2年程度かかることもあります。
手続の期間が長くなると、債権者がこれ以上待てないとして、裁判をしてくるおそれも出てきます。そのため、自己破産では、できるだけ早く手続きを進めていくことが重要です。
弁護士によるまとめ
みお綜合法律事務所では、自己破産の手続きを数多く行っており、自己破産の手続きをスムーズに進めることができる体制を整えています。自己破産の手続きをしたいとお考えの方は、一度お問い合わせください。
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追加費用もいただきませんのでご安心ください。