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借金問題解決コラム

更新日:2024年1月4日

自己破産をしても手元に残せる財産について

このコラムを書いた弁護士
弁護士 羽賀 倫樹(はが ともき)

大阪生まれの奈良育ち。夏の高校野球観戦が楽しみです。お互いのことを何一つ知らないご依頼者と弁護士が、少しずつ距離を縮めながら、人生の一大事の解決に向かうわけですから、ていねいにお話しをうかがって心を開いていただくことの大切さを痛感しています。

はじめに

自己破産は、簡単に言うと、借金を0にする代わりに、財産を手放す必要がある手続きです。ただ、全ての財産を手放すと破産をする人の経済的再生を図ることができなくなる恐れがあるため、ある程度まで財産を残すことが認められています。このページでは、自己破産をした場合に、どの程度の財産を残せるかについて見ていきます。

弁護士がわかりやすく解説
「自己破産とその後の人生」

手元に残せる財産についての破産法の条文

自己破産をした場合、財産を手放す必要がありますが(破産法34条1項)、以下の財産は手元に残すことができます。

No 手元に残せる財産
99万円までの現金(破産法34条3項1号)
差押禁止財産(破産法34条3項2号)
破産する人の生活の状況、破産手続開始の時において破産する人が有していた①②の種類・額、破産する人が収入を得る見込み、その他の事情を考慮して、手元に残すことが認められた財産(破産法34条4項)

①②の財産を本来的自由財産といい、③の手続きを自由財産拡張といいます。

②の差押禁止財産としてよくあるのは、年金・確定拠出年金・中退共・個人事業主の事業に不可欠な事業用動産等です。

問題となるのは、どのような財産が③の自由財産拡張の対象になり、どの程度の財産を手元に残せるかの点です。以下では、自由財産拡張について見ていきます。

自由財産拡張の対象になる財産とならない財産

大阪地方裁判所では、以下の財産が自由財産拡張の対象になる(破産後も保有が認められる)ものとされています。

No 自由財産拡張の対象
預貯金・積立金
保険解約返戻金
自動車
敷金・保証金返還請求権
退職金
電話加入権
破産申立時において、回収済み、確定判決取得済み、返還額及び時期について合意済みの過払金返還請求権
 ①~⑦と同視しうる財産
・ 信用金庫・協同組合等の出資金
・ 従業員持株会

 

一方、以下の財産は原則的に自由財産拡張の対象になりません。

No 自由財産拡張の対象外
不動産
売掛金・貸付金
株式・有価証券

自由財産拡張の対象になる財産の評価方法

自由財産拡張の対象になる財産にはそれぞれ評価方法があるため、以下見ていきます。

⑴ 預貯金・積立金

預貯金残高・積立金残高で評価します。

積立金というのは、社内積立や財形貯蓄等のことです。

 

⑵ 保険解約返戻金

生命保険や火災保険の解約返戻金は、額面が財産と扱われます。

契約者貸付を受けている場合は、貸付分を控除した解約返戻金の残額が財産として扱われます。

 

⑶ 自動車

自動車は、査定評価額で評価します。

ただし、①国産普通自動車で初年度登録から7年以上経過している場合や、②軽自動車で初年度登録から5年以上経過している場合であれば、新車価格が300万円未満で、損傷状況等から無価値と判断できるのであれば、査定なしで0円と評価されることがあります。

 

⑷ 敷金・保証金返還請求権

賃借保証金・敷金のうち、居住用物件の敷金返還請求権は、契約上の返還金額から滞納賃料を控除し、さらに原状回復費用等を考慮し60万円を控除した金額が財産として扱われます。ただ、60万円以上の返還金額が設定されているケースは少ないと考えられ、居住用物件の敷金について財産価値があると判断されることはほとんどありません。

家財保管のためのトランクルーム、駐車場の敷金・保証金返還請求権には、上記の60万円控除のルールは適用されません。

事業を継続する場合の事業用物件の敷金・保証金返還請求権の場合は、契約上の返還金額から原状回復費用の見積額を控除した金額で評価されます。

 

⑸ 退職金

退職金は、自己都合退職した場合の額面の8分の1が財産として扱われます。すでに退職して未支給の場合や、近く退職予定の場合は、支給や退職までの期間等を考慮して、最大で額面の4分の1が財産として扱われます。

 

⑹ 電話加入権

電話加入権の評価額は0円になります。

 

⑺ 破産申立時において、回収済み、確定判決取得済み、返還額及び時期について合意済みの過払金返還請求権

回収済み、または、回収見込みの過払金から回収のための弁護士費用を控除した金額が評価額になります。

 

⑻ 信用金庫・協同組合等の出資金

信用金庫や協同組合等に対する出資金は、預貯金と同視できるため、破産後も保有が認められます。出資金の額が評価額になります。

 

⑼ 従業員持株会

従業員持株会は、株式のため破産後の保有は認められないようにも思えますが、社内積立と類似するものと考えられるため、破産後の保有が認められます。保有株数×時価で評価します。

 

原則として自由財産拡張の対象にならない財産について(破産後の保有が認められない財産)

 

⑴ 不動産

不動産は客観的評価が困難であること、破産する人の財産の適正・公平な清算という破産制度の目的からすると、原則として破産後の保有は認められません。

 

⑵ 売掛金・貸付金

売掛金・貸付金等の債権は、そもそも債権が存在するのか、債権額がいくらなのか、回収が可能なのか等の問題があるため、原則として破産後の保有は認められません。

 

⑶ 株式・有価証券

株式・有価証券は、具体的な有用の資に充てることが予定されている場合を除き、投資としての性格を有していることから、原則として破産後の保有は認められません。

 

直前現金化の扱い

破産手続きを弁護士に依頼した後に財産が現金化されることがあります。このような場合、本来的自由財産である現金として保有できるのではなく、現金化される前の性質を有する財産とみなして保有を認めるか判断されます。

破産をした場合、いくらまで財産を手元に残せるか

大阪地裁では、現金と、自由財産拡張によって保有が認められた財産について、合計99万円まで手元に残すことが可能です。ただし、現金以外の本来的自由財産(確定拠出年金等)だけで99万円を超える財産があるような場合は、現金+自由財産拡張で99万円の保有が認められないことがあります。

99万円を超える場合は、超過部分に相当する現金を支払うことで、99万円を超える部分についても保有を認めることが可能とされています。例えば、破産手続開始決定時の財産が、現金1万円、預貯金5万円、解約返戻金35万円、自動車70万円、財産合計111万円である場合、破産手続開始決定より後の給与から12万円の現金を準備することで、解約返戻金・自動車を含めて財産を手元に残せる場合があります。

また、99万円を超える場合に、破産する人の生活状況・今後の収入の見込、手元に残すことを希望する財産の種類・金額、その他の個別事情に照らして、経済的再生に必要不可欠という特段の事情が認められる場合には、99万円を超える財産を手元に残すことが可能です。ただ、実際には、特段の事情が認められて、99万円を超える財産を手元に残すことが認められるケースはほとんどありません。

破産をするかどうかという観点で問題になりやすい財産

上記の通り、自己破産をしたからといって全ての財産を取られてしまうわけではなく、99万円までは保有が認められます。一方、99万円を超えると、超過部分は原則保有が認められません。例えば、子ども用の学資保険で数百万円の解約返戻金があると、破産をすると解約が必要になります。これに対し、個人再生では財産を手放す必要がないため、学資保険を残すために個人再生を選択することも考えられます。

また、退職金が2000万円あると、破産では、250万円(退職金の額面2000万円の8分の1)-99万円=151万円をまとまった形で用意する必要があります。これに対し、個人再生では債務額や財産額から弁済が必要になる金額を3年分割で支払うことになるため、まとまった金額を用意しなくていいようにするため個人再生を選択することも考えられます。

弁護士によるまとめ

以上、自己破産をした場合に手元に残せる財産について見てきました。自己破産をしても全ての財産を取られるわけではない点が重要と言えます。一方で、残せる財産があるとはいっても、原則99万円までという点も押さえておく必要があります。
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