思い切って自己破産したことで卒業後から背負い続けてきた奨学金の重荷から解放された。

自己破産

2018/02/02

奨学金を得て大学生活を終えたMさんでしたが、卒業してからは奨学金返還のために借金苦に陥りました。思い切って自己破産を選んだことで、前向きに再出発をはかることができました。

ご相談者様

Mさん（20代　　男性）

職業	会社員
借入先	奨学金、クレジットカード等
取引期間	1.000万円

Mさんは高校時代から勉学に励み、将来を考えて就職に有利な大学を選んで見事に合格しました。大学には入れたものの学費は高く、母子家庭のMさんにとっては簡単に払えない金額だったため奨学金を申請しました。大学ではクラブ活動にも熱心に取組んだMさんでしたが、部活にはそれ相応の費用がかかり、奨学金だけではまかないきれなかったため、クレジットカードからもときどき借入れをしていました。

ご相談時の借金状況

大学卒業と同時に始まった奨学金の返還額は、月々4万円でした。Mさんには奨学金以外に、学生時代から借りているクレジットカード会社や消費者金融への返済もありました。社会人として働き始めたMさんでしたが、新入社員の身ではそれほど高収入が得られるわけではなく、必要最低限の生活費がかかることから、金策がつかなくなるとまた消費者金融で借りるという自転車操業に陥ってしまいました。奨学金と貸金業者への返済を合せると、借入れ総額は1,000万円近くに達していました。

解決までの道のり

ご相談に来られた際のMさんは、毎月20万円を超える返済に迫られる生活が続いていました。Mさんの手取りでこれだけの金額を毎月返していくのは到底不可能でした。そこで、借金を減らして問題解決をはかる方法ではなく、すべての借金を免除できる自己破産を選び、手続きに向けて準備を進めました。ところが、手続きの過程でクレジットカードのショッピング枠の現金化という不正行為があったことがわかり、一時は免責を得ることがむずかしくなりかけましたが、弁護士が裁判所に働きかけて説得することに成功し、自己破産および免責が認められました。

債務整理の方法として任意整理や個人再生で借金の減額をはかったとしても、無事に返済し終えることができるかどうかについては、Mさん自身に不安がありました。ご相談の当初は、20代という年齢で破産を経験することについて抵抗を示されていたMさんでしたが、やり直しの効く若いうちであればこの危機を乗り越えていく活力もあると考えるようになられました。途中で挫折の危機にも出逢いましたが、弁護士のサポートにより免責が得られ、再出発に向けて歩み出されました。

担当弁護士のまとめ

Ｍさんは、チケット屋で新幹線チケットを購入し、転売するクレジットカード現金化をしていたことから、免責不許可事由があるものとして、裁判所で詳細に免責調査が行われました。この点は、借金の経緯や今後のことについての反省文を提出するなどして、最終的に免責が認められました。
奨学金の借入がある場合、親戚の方などが保証人になっている場合があり、破産が難しいことがあります。Ｍさんの場合、親戚の方が保証人になるのではなく、保証会社が保証に入る機関保証の形であったため、保証人の点は問題にならず破産ができました。
当事務所では、奨学金に保証人がついているか、おうかがいした状況から免責が認められるかなど、破産が可能かを慎重に判断した上で、手続きを進めています。奨学金は何とか返していきたいという方は多いですが、借金の一つであることは間違いありませんので、奨学金の返済が苦しいという方は、一度みお綜合法律事務所にご連絡いただければと思います。