約500万円もの奨学金について、一括返済を求められていました。Kさんには到底支払えない金額でした。
返済が滞っていた奨学金の、一括請求に、自己破産で対応。
実家任せにしていた奨学金の返済が滞っており、一括請求をされたKさん。一括で支払うのは不可能であったため、自己破産で解決しました。
ご相談者様
職業 |
会社員 |
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借入先 |
クレジットカード・奨学金 |
債務総額 |
2社 500万円 |
住所 |
兵庫県 |
Kさんはクレジットカードの一括払いを利用することはありましたが、特に借入はありませんでした。
ただ、経済的事情から学生時代に奨学金を借入しており、卒業後、返済はKさん自身ではなく、実家が行っていました。
ところがある日、Kさんのもとに奨学金約500万円の一括返済を求める書面が届き、驚いて実家に問い合わせたところ、経済状況が悪く、長期間支払いができていないことがわかりました。
当然、Kさんは一括で支払う余裕などなく、自己破産で解決したいと、当事務所に相談に来られました。
ご相談時の借金状況
解決までの道のり
Kさんはすでに結婚され共働きでしたが、500万円もの金額を一括で支払う余裕はありません。ただ、子どもはまだおらず、夫婦共有で一定の預金がありました。
そのため、破産をする場合、共有の預金から一定の額を出さなくてはならないため、個人再生にするか自己破産にするか、検討が必要でした。ただ、少しでも早くこの問題を解決してすっきりしたい、というKさんの強いご希望があったため、預金の共有者である妻の承諾も得て、自己破産で手続きを進めることにしました。
自己破産申立後は、上記の共有の預金があったため破産管財事件となり、Kさんの財産から債権者に一定の配当が行われました。ただ、借入の原因には問題がなかったため、時間はかかりましたが、無事免責が認められました。
返済を実家に任せていたため、返済が滞っていることは知りませんでしたが、奨学金を借りたのはKさんですので、一括支払いの請求はKさんに届きました。ただ、500万円もの金額を一括返済するのはとてもできませんでした。
預金などの財産があったため、そこから債権者への一定の配当が行われましたが、破産手続きをすることで、Kさんはこの債務から解放されました。
担当弁護士のまとめ
奨学金が借金という認識は一般的に薄いかもしれませんが、銀行やクレジットカードによる借入と同じ借金です。返済ができなくなると、一括請求されることもありますし、裁判を起こされる場合もあります。
奨学金の返済ができずに自己破産をする場合、注意しなければならないのが、「連帯保証人を誰に設定しているか」という点です。
親などを連帯保証人にする「人的保証」の場合、自己破産をすると、借金は全て連帯保証人に一括請求されます。
一方、保証料を支払って保証会社に委託する「機関保証」を利用している場合は、請求は保証会社に行くので、問題はありません。
このように、奨学金は、他の借入とは異なる配慮が必要です。
奨学金返済は、今や社会問題になっており、当事務所でも、数多くの方のご相談を受けています。奨学金の返済が苦しいという方は、まず一度ご相談いただければと思います。