開業時に借りた事業資金約500万円が返済しきれずに残っていました。債務整理の方法を検討するに当たって、Sさんには住宅ローンで購入した持ち家があったため、自宅を守りつつ借金を圧縮できる住宅ローン特則での個人再生を希望されていました。
個人再生
2018/01/20
住宅ローン特則の適用を阻んだ抵当権の問題を乗り越えて個人再生で借金を圧縮。
住宅ローン特則での解決をお望みのSさんでしたが、保有財産に抵当権がからんでいたために適用不可能に。改めて別の対応策をとり、住宅を残して借金を整理することができました。
ご相談者様
Sさん(30代 男性)
職業 |
飲食店店主 |
---|---|
借入先 |
金融機関 |
債務総額 |
500万円 |
Sさんは飲食店を開業し、お客さんもついて順調に店舗を運営していましたが、しだいに客足が遠のき、赤字経営が続くようになっていきました。このままでは経営が成り立たないと考えたSさんは、思い切って店を閉じることを決意されました。
ご相談時の借金状況
解決までの道のり
Sさんのご要望に添い、住宅ローン特則を利用した個人再生手続きができるかどうかについて調べていくと、共同担保に入っていた不動産に二番抵当権が設定されていることが判明。このような場合、住宅ローン特則が使えないため住宅ローン特則付き個人再生は断念しました。
ただ、試算してみると住宅の価値はあまり大きくなく、住宅ローンの残額も近いうちに完済できる状況でした。 そのため、住宅ローンの返済を継続して完済し、弁護士依頼後に支払った住宅ローン相当額を個人再生での弁済額に上乗せする方向で手続きを進めることにしました。
住宅ローン特則が適用できないとわかった段階で方針を切り替え、住宅を残したいというSさんの要望に添えるよう解決の道を検討しました。ご依頼いただいた時点から支払いをした住宅ローンに相当する金額を財産として扱うため、月々の支払額は多少大きくなってしまいましたが、住宅を守りつつ借金を圧縮することに成功しました。
担当弁護士のまとめ
Sさんの事例では、住宅ローン特則付個人再生ができませんでした。そこで、個人再生での支払額が増額になったり、最悪の場合個人再生が通らないことを覚悟の上、住宅ローンを完済して手続きを進めました。
個人再生手続で住宅ローン特則を使えるかについては専門的な判断が必要です。様々な要件がありますので、使えない事例もかなりの程度あります。このように個人再生は専門的な判断が求められる手続ですので、申立を検討されている方は弁護士にご相談いただければと思います。