大手都市銀行と地元銀行のカードローンの計5社に取引きがあり、総額は450万円に達していました。毎月10万円ずつ返しても6年近くかかり、夫の収入だけで家計をやりくりするHさんには返済不能な金額です。
結婚生活のストレスから次々とブランド品を買い漁り、いつのまにかショッピング依存症になった主婦。身分不相応な買物を可能にしたのは銀行のカードローンでした。
職業 |
主婦 |
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借入先 |
5社 |
取引期間 |
5年 |
債務総額 |
450万円 |
Hさんは専業主婦。保険の代理業を営む夫は帰りが遅く、毎日がスレ違い生活でHさんのストレスは溜まる一方でした。唯一の気晴らしがショッピング。Hさんには結婚前からお気に入りの輸入ブランドがありました。財布などの小物から始まり、少しずつ買い揃えるうちに、シーズンごとのショーに招待されるほどの上得意になっていきました。見栄も手伝って買物の量はふえ、支払い金額も多いときには1回で20~30万円にも。気前よく支払うHさんの資金源は、銀行のカードローンで引き出す現金でした。
大手都市銀行と地元銀行のカードローンの計5社に取引きがあり、総額は450万円に達していました。毎月10万円ずつ返しても6年近くかかり、夫の収入だけで家計をやりくりするHさんには返済不能な金額です。
Hさんには、前々からどうしても手に入れたいバッグがありました。ポケットマネーでは買えない高級品です。 “サラ金”はダーティなイメージで抵抗がありましたが銀行なら安心と思い、カードローンを申し込むことにしました。主婦で無収入のHさんが惹かれたのは、女性誌の広告で目に止まった「収入証明書不要」のキャッチコピーです。手続きは簡単に終わり、1時間後にはすぐに使えるカードを手にすることができました。さっそく20万円を引き出し、お目当てのバッグを購入。やがて家にはブランド品のコレクションがクローゼットいっぱいにふえ、同時に銀行カードの借り入れ額もうなぎ上りにふえていきました。
車を買い替えることになった夫に貯蓄の残高を尋ねられ、Hさんは全てを告白しました。夫は、こうなるまで妻に無関心でいた自分にも非があるとして、一緒に解決していこうと言ってくれました。債務整理に強い法律事務所を探そうということになり、Hさんがいつも聞いているラジオで名前を知っていた「みお」のことを思い出し、電話を入れました。おそるおそる電話をしたのですが、電話口の女性は丁寧に対応してくれ、「一番いい方法を弁護士と一緒に考えていきましょう。」とのことで、さっそく予約を取って「みお」を訪ねました。
Hさんの債務は銀行カードローンだけだったので、過払い金の返還は望めません。Hさんは自分だけを自己破産にして借金を帳消しにできないかとお考えでしたが、ご主人が一緒に返していこうと協力を申し出られたので、民事再生の手続きをとることにしました。
450万円あった借金は5分の1の約90万円に圧縮されました。これを原則3年で返していくことになるので、毎月の返済額は3万円とちょっと。Hさんは、ご主人に負担をかけないようにとパートの就職口を見つけてこられ、二人で家計と夫婦生活の両方を立て直していくことを誓い合われました。
銀行は法定金利内で貸し付けるので、過払い金を見込んだ任意整理を適用することはできません。残る手段としては民事再生と自己破産があります。Hさんは自己破産はどうしても避けたいとの意向があり、また、任意整理では借金そのものの減額は期待できませんが、民事再生では借金を大幅に減らすことができるので、無理のない範囲で返済を続ける民事再生のほうを薦めました。